2016 年 30 巻 1 号 p. 108-112
リンパ腫様肉芽腫症は両側肺野に血管侵襲性に増殖,多発するまれな疾患であるが,今回我々は,無症状の孤立性肺結節として指摘され,肺癌との鑑別が困難であった稀少な1例を経験したので報告する.症例は85歳女性.左腎癌術後経過観察中の胸部CTで右肺中葉に23 mmの結節を指摘された.腫瘍マーカーはCYFRA,pro-GRP,NSEがやや高値であった.またPET-CTではSUVmaxが10.6とFDGの異常集積を認めた.右肺癌疑いT1bN0M0 stage IAの診断にて,右中葉切除術+ND2a-1を施行した.病理組織学的診断は,リンパ腫様肉芽腫症grade 3であった.高齢のため化学療法は行わず外来通院にて経過観察しているが,13ヵ月現在無再発生存中である.