日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
増大と縮小を繰り返した胸腺腫の1例
笠井 由隆桝屋 大輝
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 30 巻 1 号 p. 36-39

詳細
抄録

症例は28歳,男性.発熱・胸痛のため当院を受診.CT上,前縦隔に径35 mm大の内部不均一な腫瘤影を認め,炎症反応の上昇を認めた.経過観察で症状,炎症所見は改善し,1ヵ月後のCTでは腫瘤径は29 mmに縮小していた.その3ヵ月後に再度発熱・胸痛のため受診.CT上,腫瘤径は48 mmに増大し,炎症反応の上昇を認めた.経過観察で症状,炎症所見は改善し,2ヵ月後のCTでは再度25 mmに縮小したが,縦隔腫瘍を疑って手術を行い,病理診断は胸腺腫であった.また腫瘍内出血や線維化,新旧の炎症像の混在を認め,2回の増大・縮小を繰り返したという病歴に矛盾しない所見であった.胸腺腫が自然縮小した報告は本邦でも散見されるが,短期間に増大と縮小を2回繰り返した症例は極めて稀であるため,文献的考察を加え報告する.

著者関連情報
© 2016 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top