日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
粒状石灰化巣を伴う巨大縦隔囊胞状・海綿状リンパ管腫の1例
保坂 智子遠藤 千顕三浦 元彦岩間 憲行岡田 克典
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2016 年 30 巻 4 号 p. 458-462

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抄録

症例は15歳男性.左肩から左前胸部にかけての疼痛を主訴に当院を受診した.胸部単純X線写真上,左第2弓から第3弓の突出を認め,1年の経過で増大していた.CTでは前縦隔左側に径15×8 cmの腫瘤を認め,粒状の石灰化を伴う充実部と囊胞部が混在し不均一な造影効果がみられた.右肺S4にも5 mm大の小結節を認めた.MRIでは多数の隔壁と大きな充実部を有する多房性囊胞性腫瘤であった.囊胞部はT2強調像,T1強調像脂肪抑制で高信号であり,血性または高蛋白性の泥状の内容物と考えられた.針生検では確定診断が得られず,腫瘍摘出,肺部分切除術を行った.肉眼所見,病理組織診断は囊胞状・海綿状リンパ管腫であった.一般に石灰化を伴うことは血管腫の所見とされているが,石灰化を有することを根拠にリンパ管腫を否定できないことが本症例より示唆された.また,肺にもリンパ管腫を認め,大変興味深い症例であると考えられた.

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