日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
大腸癌肺転移として経過観察された腸型肺腺癌の1例
椎名 隆之吾妻 寛之齋藤 学砥石 政幸近藤 竜一吉田 和夫
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2016 年 30 巻 6 号 p. 696-702

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抄録

1991年Tsaoらが報告した大腸癌に類似した腸型肺腺癌は,本邦での報告は少なくまれな疾患である.

症例は,66歳,男性.2006年の検診CTで右肺下葉の異常陰影を指摘され呼吸器内科を受診した.BFにて腺癌と診断,手術目的に当科入院となった.血液検査で異常値は認めず.胸部X線で右下肺野に腫瘤影,CTで右S10に38×30 mmの腫瘤,PETで腫瘍にSUV Max 8.1の集積を認め,下葉切除を施行した.摘出標本は大きさ4.5×4.5 cmの白色病変,組織学的に異型な高円柱上皮細胞と壊死領域を認め,CK-7一部陽性,CK-20とCDX-2陽性にて大腸癌肺転移もしくは原発性肺癌を示唆された.大腸癌の罹患は認めなかったが,転移性肺腫瘍として経過観察された.術後3.5年目に胸椎転移し,骨転移の病理所見と臨床経過から腸型肺腺癌と診断され,全身化学療法を施行されたが術後約4.5年で死亡した.

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