日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
転移性肺腫瘍と鑑別を要した横隔膜ヘルニアの一手術例
石川 祐也小林 正嗣浅川 文香熊澤 紗智子石橋 洋則大久保 憲一
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2017 年 31 巻 2 号 p. 199-203

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抄録

症例は62歳女性.左腎癌の術後経過観察中に胸部CTで右肺底部に20 mm大の横隔膜に接する充実性の結節性病変を指摘され,当科紹介となった.PETでは同部位にFDG集積(SUVmax=2.4)を認めたため,転移性肺腫瘍を疑い,手術の方針とした.手術は左胸腔鏡下に施行.胸腔内観察したところ,肺腫瘍は確認できず横隔膜上に暗赤色腫瘤を認めた.横隔膜には複数の欠損箇所を認め,その一ヵ所を通じて腹腔内から胸腔内へ突出した腫瘤であった.診断目的に同部位を部分切除し,病理診断で正常肝臓組織と診断された.術中所見より,横隔膜ヘルニア肝臓嵌頓と最終診断した.外傷歴含め後天的要因のない横隔膜ヘルニアで,ヘルニア内容が肝臓である症例の報告は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

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