日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
胸膜肺全摘術を含む集学的治療を行った胸腔原発滑膜肉腫の1例
利根 安見子寺師 卓哉清水 秀浩田中 伸岳飯森 俊介宮原 亮
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2017 年 31 巻 2 号 p. 215-220

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抄録

症例は39歳男性.HIV加療中に胸部異常陰影を指摘され当院受診.胸部CTで右胸腔をほぼ占拠する腫瘤を認めた.CTガイド下生検を施行したが確定診断に至らず,胸腔鏡下生検の結果,SYT-SSX1融合遺伝子が検出され,滑膜肉腫と診断された.Ifosfamide,Doxorubicin併用化学療法を施行したが,増大傾向を示し播種病変も確認された.腫瘍は右胸腔に限局しており,播種病変を含め切除可能と判断し,右胸膜肺全摘術を施行した.術後7ヵ月のCTで右横隔膜から後腹膜腔に連続する病変と右胸壁の病変を認めた.開胸開腹下腫瘍切除術を施行したが,再手術から2ヵ月後に心膜播種を含む多発播種を認めた.Gemcitabine,Docetaxel併用化学療法を施行したが,心囊内播種が増大したためPazopanibに変更した.その後3ヵ月間はSDを維持できたが,初回術後17ヵ月目に心タンポナーデにより死亡された.

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