日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
有茎筋弁縫着術が有効であった間質性肺炎合併難治性気胸の一例
藤本 遼大政 貢長田 駿一中西 崇雄
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2017 年 31 巻 7 号 p. 864-867

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抄録

82歳男性.関節リウマチ,間質性肺炎に対してステロイド治療されていた.4年前に左続発性気胸に対して3回の外科的治療(肺縫縮,部分切除)および胸膜癒着術にても早期再発を繰り返す難治性気胸に対して左上葉の肺漏に有茎前鋸筋弁を縫着することで治癒せしめた.今回左気胸再発に対する胸膜癒着術にて不応のため手術施行した.初回手術では,左下葉S10の瘻孔からエアリークを認めた.瘻孔部の直接縫合で治癒した.しかし術後7日目に気胸再発し再手術となった.初回と同じ下葉S10の瘻孔からリークがあり,瘻孔を縫合閉鎖し,更に広背筋の一部を有茎で瘻孔部に縫着した.以降は再発なく経過した.胸膜癒着術,度重なる外科治療は間質性肺炎の増悪のリスクが高くなる.再発を繰り返す間質性肺炎を合併した難治性気胸に対する有茎筋弁の肺漏部への縫着は有用である.

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