日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
両側気胸を契機に発見された悪性胸膜中皮腫の1例
闞 秋明田川 公平石田 輝明西村 光世青山 克彦
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2017 年 31 巻 7 号 p. 868-873

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抄録

アスベスト曝露歴のある44歳女性.I度の左気胸経過観察中,I度の右気胸を併発したため,両側気胸に対して手術を施行した.術前胸部CTでは明らかなブラを認めず,肺尖部の胸膜肥厚と横隔膜上の小結節を認めた.術中所見では両側胸腔内に少量の胸水貯留と壁側胸膜,臓側胸膜,横隔膜表面に径1~3 mmの小結節をびまん性に認めた.右上葉の葉間胸膜面に小孔を認め,そこから気瘻を確認したため同部を縫縮した.その周囲には白色小結節を伴っていた.左肺には明らかな気瘻は認めなかった.小結節の生検結果は,上皮型悪性中皮腫であった.術後施行したPET-CTでは右肺門と縦隔リンパ節に高集積を認めた.両側同時発生(IMIG分類右stage III,左stage Ib)または右胸膜原発で左胸膜へのリンパ行性や血行性転移(IMIG分類stage IV)の可能性を考えた.現在CDDP+PEMによる化学療法中である.

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