日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
胸膜原発高分化乳頭型中皮腫の1例
鈴木 仁之庄村 心井上 健太郎金光 真治島本 亮近藤 智昭
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2018 年 32 巻 2 号 p. 244-249

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抄録

今回我々は,中皮腫の特殊型に分類される非常に稀な胸膜原発高分化乳頭型中皮腫の1例を経験したので報告する.症例はアスベスト曝露歴のある51歳男性で,胸水貯留で当院紹介受診となった.胸腔鏡下胸膜生検を施行したところ,胸膜原発高分化乳頭型中皮腫と診断された.その後外来で画像フォローを施行していたが,2年後に大量胸水が出現した.再度胸腔鏡下胸膜生検を施行したところ,腫瘍の増大は認めたが悪性所見はなかったため,胸膜癒着術を施行して外来経過観察中である.高分化乳頭型中皮腫は低悪性度とされるが,悪性化する可能性のある腫瘍である.完全切除が理想であるが,びまん型では再発や悪性化の可能性があるため,厳重なフォローアップと治療選択が必要であると考えられた.

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