2018 年 32 巻 2 号 p. 256-260
症例は75歳,男性.血痰を主訴に近医受診.CTで右肺S6を首座とし右下幹を閉塞,右主気管支中枢まで浸潤する腫瘤影を認めた.気管支鏡下肺生検で低分化肺腺癌cT3N1M0,Stage IIIAと診断し,右肺全摘術を施行した.気管分岐部から1気管輪末梢で自動縫合器での右主気管支切離を試みたが,気管支断端部への過張力のため,ステープルライン針穴より術中air leakageを認めた.断端への張力軽減,再吻合目的に分岐部切除も考慮されたが,気管のwedge resectionを追加したところ,自然な吻合口の近接を認め,術野挿管を要さず容易に吻合し得た.主気管支切離ラインが気管分岐部に近く主気管支中枢となる場合,考慮されうる術式であると考える.