2019 年 33 巻 5 号 p. 498-503
術後4年目に初発巣と異なる形態で再発し,急速な経過をたどった肺多形癌を経験したので報告する.症例は74歳男性.検診にて右肺上葉に3 cm大のground glass nodule(GGN)病変を指摘され,胸腔鏡下右肺上葉切除術,リンパ節郭清を行った.混合型腺癌,pT1bN0M0,Stage IAであった.術後2年目のCTにて多発GGNを認めたが,carboplatin(CBDCA)+irinotecan(CPT-11)投与後はGGNの増大は緩徐であった.術後4年目に右肺下葉に充実性結節影を認め,5年目に胸腔鏡補助下右肺下葉部分切除術を行い,紡錘形細胞が腫瘍の80%を占める多形癌であった.再手術後,全身転移が急速に進行し,3ヵ月後死亡となった.初回手術時の病理標本の再検により,10%の紡錘細胞部分を含む多形癌であることが判明した.多形癌の予後は紡錘形細胞の割合が関与している可能性がある.