日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
診断に難渋した特発性肺裂傷による肺空洞病変の1切除例
岩井 俊関村 敦飯島 慶仁本野 望薄田 勝男浦本 秀隆
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2021 年 35 巻 2 号 p. 168-171

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抄録

症例は65歳,女性.喀血を主訴に近医を受診し,感染性肺囊胞による出血疑いと診断され,抗菌薬治療を行った.3ヵ月後に再度喀血を起こしたため,止血剤と抗菌薬治療により改善したが,喀血の原因が不明であったため当科に紹介された.胸腔鏡下左肺S6区域切除術を施行し,病理学的診断で肺裂傷による空洞性病変と診断された.肺囊胞内による出血は様々な要因で起こりうることであり,文献もいくつか散見される.今回我々も肺囊胞による出血で喀血を起こしたと考えていたが,実際には肺裂傷により喀血を起こしたと考えられた.しかし肺裂傷の原因は不明であった.この診断に至るまで病理学的診断は難しく,非常に稀な疾患であると考え,文献的考察を加えて報告する.

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