日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
胸腺組織内に発生したコレステリン肉芽腫の1手術例
大久保 友人池田 敏裕新居 和人三崎 伯幸呉 哲彦横見瀬 裕保
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2021 年 35 巻 5 号 p. 607-611

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抄録

コレステリン肉芽腫はコレステリン結晶に対する異物巨細胞の反応により形成される肉芽腫である.コレステリン肉芽腫は中耳や副鼻腔といった耳鼻科領域での報告例が多く,その他の部位に発生するのは稀である.今回我々は,胸腺組織内に発生したコレステリン肉芽腫を経験したため報告する.

症例は52歳,男性.健診で胸部異常陰影を指摘され,胸部CTでは前縦隔に石灰化を伴う23 mmの辺縁不整な結節を認めた.画像所見から胸腺腫を疑い,診断と治療を兼ねて胸腔鏡下胸腺・胸腺腫瘍摘出術を施行した.最終病理診断ではコレステリン結晶と異物巨細胞を認め,コレステリン肉芽腫と診断された.

胸腺組織内に発生するコレステリン肉芽腫は,胸腺腫や悪性疾患との鑑別が困難となる事が多い.本症例では病理組織内に出血を示唆する所見を伴っており,出血を起源としてコレステリン肉芽腫が形成されたことが推測された.これまでの報告で認められたコレステリン肉芽腫の画像所見や発生原因と本症例を比較することで,前縦隔に発生したコレステリン肉芽腫を鑑別する一助となる可能性のある所見について検討した.

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