日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
肝腫瘍に対するラジオ波焼灼術後に合併した血胸に対する手術5症例の検討
山﨑 順久洪 雄貴坂口 泰人田中 宏和園部 誠
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キーワード: ラジオ波焼灼術, 血胸
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2022 年 36 巻 1 号 p. 2-6

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抄録

【はじめに】肝腫瘍に対するラジオ波焼灼術は安全性が高く,大量血胸の発症は稀である.【対象】2006年から2015年までに当院で施行したラジオ波焼灼術の3,228例のうち,血胸を合併し手術を要した5例について検討した.【結果】全例が肝硬変および肝細胞癌を罹患していた.術前に1例が経カテーテル的肋間動脈塞栓術を施行され,2例が胸腔穿刺を行われた.アプローチは開胸が1例,小開胸が3例,完全鏡視下が1例であった.術中に1例で活動性出血を認め,自然止血していた4例中3例で出血部位が推定できた.総出血量の中央値は2,500 ml(1,160-3,190 ml)で,全例で輸血を要した.術後に1例で後出血,4例で肝機能障害,3例で胸水貯留を合併したが,全例が軽快退院された.【結語】ラジオ波焼灼術後の血胸に対する手術では,基礎疾患に肝硬変を有する症例が多いため,周術期管理には十分な注意が必要である.

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