日本呼吸器外科学会雑誌
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原著
本邦における肺移植時の一酸化窒素(NO)ガス使用状況に関する実態調査
吉安 展将佐藤 雅昭中島 大輔富岡 泰章渡辺 有為白石 武史舟木 壮一郎前田 寿美子朝重 耕一中島 崇裕土谷 智史杉本 誠一郎吉野 一郎永安 武千田 雅之南 正人岡田 克典豊岡 伸一伊達 洋至中島 淳
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2022 年 36 巻 7 号 p. 722-734

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抄録

【背景】2021年1月現在,本邦の肺移植手術において一酸化窒素(Nitric Oxide,NO)吸入療法は保険外診療である.本研究では肺移植時のNO吸入療法の使用状況とその安全性に関する実態調査を行った.

【方法】2015年1月1日から2019年12月31日の間,本邦で行った肺移植手術症例,肺移植実施全9施設を対象にNO吸入療法の治療期間や副作用について調査した.

【結果】対象期間に357例の肺移植が行われ,NO吸入療法は349例(98%)で施行された.NO初回投与濃度は中央値10 ppm,最大投与濃度は中央値20 ppmであった.術中から継続された症例が313例(90%)あり,中央値4日間使用されていた.酸素化や肺動脈圧の有意な改善効果を認めた.メトヘモグロビン血症等の副作用は15例(4%)で認められ,18歳未満の小児症例で有意に発症した.

【結論】本邦の肺移植手術ではほぼ全例でNO吸入療法がなされ,一定の効果が示された.従って,肺移植時のNO吸入療法に対して,公的医療保険の適用が推奨される.

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