日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
肋骨軟骨肉腫に対し広範切除を施行し,術後長期生存を得た1例
古川 真一塩谷 俊雄白羽 範昭渡邉 元嗣
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2025 年 39 巻 6 号 p. 521-526

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抄録

症例は47歳男性.2年前から左側胸部に違和感を自覚した.その1年後に胸部レントゲン検診で異常陰影を指摘されたが,自己判断で精査せず,経過観察をしていた.自覚症状出現から2年後,胸部レントゲン検診で再度異常陰影を指摘されたため,精査加療目的に当科を受診した.CTで左第7肋骨に骨破壊を伴う最大径85 mmの腫瘤を認め,PET-CTでは同部位にFDGの高集積を認めた.悪性骨腫瘍が強く疑われたため術前生検は行わず,腫瘍摘出術を行う方針とした.手術は腫瘍から十分なマージンをとるように開胸左第6-8肋骨および皮膚・軟部組織合併切除を行った.病理診断結果は肋骨原発軟骨肉腫(Grade II)で切除断端は陰性であった.術後8年経過しているが,再発なく現在外来通院中である.軟骨肉腫の治療は化学療法や放射線治療が無効であるため,十分な切除マージンを確保した広範切除が重要である.

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