1989 年 3 巻 5 号 p. 606-611
胸腔ドレナージ後も出血が持続し, 緊急手術を行なった26歳, 男性の自然血気胸を経験した.開胸時は, 一応止血していたが, 加圧呼吸をかけ肺を膨張させた際に, 断裂していたブラ壁内の血管から血栓がはずれ, 動脈性の出血が見られた.この所見から, レトロスペクティブに考え, 本症例は, ドレナージによって肺の再膨張をはかったことが, かえって, 出血を助長していたと思われた.自然血気胸に対しては, まず血管を確保し, 緊急事態に対処できる態勢下に, ドレナージを行なうべきである.