日本呼吸器外科学会雑誌 呼吸器外科
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巨大気腫性肺嚢胞症の治療
門倉 光隆谷尾 昇野中 誠小林 聡阿部 正井関 雅一舟波 誠高場 利博
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1991 年 5 巻 1 号 p. 29-35

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抄録

当科で入院治療を行った巨大ブラ24例を対象とし, 診断・治療上の問題点を中心に検討した.年齢は24~72歳, 平均47.7歳で, 男22例, 女2例であった.ブラは両側3例を除き右18例・左3例と, 右側に多くみとめられた.また気胸合併は13例にみられ, このうち巨大ブラに起因する気胸は10例と多く, 気胸合併が必ずしも少なくないことを示唆した.さらに非気胸例に比べて重喫煙者例が多く, 気胸発症との関連性が示唆された.外科治療は Naclerio-Laiger法10例, 自動縫合器を利用した肺部分切除7例, ならびに肺葉切除4例, 計21例に施行し, 術後平均ドレナージ期間は10日間であった.60歳以上の症例は7例で, うち5例が巨大ブラ占有側の気胸発症であり4例に対して手術を施行した.高齢者例の術後ドレナージ期間は長期間となる傾向を示し, 高齢者手術に際してはより慎重な肺縫合を心掛けるべきであると考えられた.

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