抄録
自然気胸を合併した成人 Bochdalek 孔ヘルニアの1例を, 文献的検索による本邦73例とともに報告する.症例は36歳, 女性, 左自然気胸にて入院し胸腔ドレナージ開始後, 左横隔膜ヘルニアを発見された.消化管造影, 胸部CTより左 Bochdalek 孔ヘルニアと診断し, 開胸術にてヘルニア臓器の還納, ヘルニア門の閉鎖, ブラ切除を行った.文献的に検索した本症73例および自験例1例による集計では, 男性39例, 女性35例, 20歳台に最も多く, 左側42例, 右側5例 (不明27例) であり, 手術の到達経路としては開胸術12例, 開腹術22例, 開胸開腹術11例であった.修復を要する臓器の種類や妊娠の有無により術式を選択すべきであるが, 一般には開胸開腹を避けるために開胸法によるのが良いと思われた.自験例は自然気胸を合併した本症の本邦2例目の報告であり, 術後6ヵ月現在経過良好である.