日本呼吸器外科学会雑誌 呼吸器外科
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開胸術後疼痛に対する硬膜外鎮痛法の検討
野木村 宏小林 亮堀口 倫博杉村 久雄伴野 隆久鈴木 一也原田 幸雄
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1991 年 5 巻 4 号 p. 401-406

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抄録
開胸術後の鎮痛法としての鎮痛薬 (ブプレノルフィン) の硬膜外投与法を筋注法と比較し, より効果的な硬膜外投与法について検討した.対象は100症例で, このうち硬膜外投与例57例, 筋注単独使用例43例であった.
硬膜外投与の著効例 (単独使用で落痛がほぼ消失したもの) 34例, 有効例 (落痛は軽減したが補助的に筋注を追加したもの) 18・例で, 両者を合わぜた奏功率は91.2%であった.術後24時間の痛みによる呼吸数の変動を比較すると, 著効例7.9±3.6回/分, 有効例7.7±2。9回/分であり, 筋注単独使用例12.7±5.0回/分に比べ有意に少なく, 硬膜外投与法が安定した鎮痛効果を持つと考えられた.
硬膜外投与法のうち, 手術直後にブプレノルフィン0.1mgを注入した群は, 帰室後に注入した群に対して有意に奏功例が多かった.このことから, 術直後完全覚醒前よりの硬膜外投与がより効果的であると考えられた.
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