抄録
胸腺腫合併重症筋無力症 (MG) 患者8例から胸腺腫リンパ球 (TLY), 胸腺腫とともに郭清した胸腺リンパ球 (NTLY), 末梢血リンパ球 (BLY) を分離しその細胞学的機能とpopuiationについて検討した.
細胞学的機能はIL-2 (400U/ml) とともに4日間培養した後のDaudi細胞に対する抗腫瘍活性 (LAK活性) 発現能, K562に対する抗腫瘍活性現能にて検討した.MG患者のTLYはNTLYに比して有意に高いLAK活性を発現した (P<0.05).K562に対する抗腫瘍活性に差は認めなかった.Osserman分類IIb期2例とIII期1例のTLYのLAK活性はIIa期症例2例の活性に比して高値であった.
TLYとNTLYは4日間の培養後, CD3 (P<0.05, P<0.05), CD25 (P<0.01, P<0.05) が有意に増加した.また, TLYのCD4は有意に低下した (P<0.05).BLYには有意な変化を認めなかった.
以上より, TLYとNTLYにpopulationの差は認めなかったが, TLYのLAK活性の発現能はNTLYに比して有意に高いことが示された.また, 症例数はわずかではあるがOsserman分類にて進行した症例のTLYに高いLAK活性の発現を認めた.これより, このTLYとNTLYの細胞学的機能の差が胸腺腫合併MG患者の重症度の差に何らかの関与をしている可能性が示唆された.