日本呼吸器外科学会雑誌
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縦隔気管支嚢腫の手術適応
富樫 賢一吉谷 克雄
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1997 年 11 巻 1 号 p. 2-7

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抄録

縦隔気管支嚢腫の手術適応に関して検討した.15例の手術施行例を, 周囲組織の処理を必要とせず, 単純摘出が可能であった7例 (A群) と, 周囲組織の処理を要した8例 (B群) の2群に分けた.両群間で, 臨床所見, 外科治療, 病理所見につき比較検討した.術前診断率は, A群が85.7%, B群が25%と, A群で高かった.B群で必要とした操作は, 食道筋層欠損部の修復が3例, 気管欠損部の直接縫合が1例, 右主気管支欠損部のパッチ閉鎖が1例, 肺実質損傷部の修復が1例, 胸腺合併切除が1例, 肺分画症合併切除が1例であった.術後病理診断で悪性所見を認めたものはなく, 術後, 再発したものもなかった.A群では, 胸腔鏡手術が可能と思われたが, この群では術前診断率が高いため, 無症状の場合には, 手術適応に関しては, 十分な配慮が必要と思われた.

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