日本呼吸器外科学会雑誌
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薄壁空洞を呈した原発性肺癌の1例
松岡 勝成伊東 政敏上野 陽一郎五十部 潤小林 孝暢近藤 展行
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キーワード: 肺癌, 空洞, 薄壁空洞
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1997 年 11 巻 7 号 p. 873-876

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抄録

胸部X線, CTにて薄壁空洞陰影を呈した肺原発扁平上皮癌の1例を経験した.症例は64歳の男性で, 検診にて胸部異常陰影を指摘された.自覚症状はなく, 喫煙歴は20本/日を44年間であった.胸部X線にて, 左上肺野に空洞を伴った直径7.5cmの腫瘤陰影を認めた.胸部CTでは, 腫瘤は内部不整な空洞を伴っており, 最大壁厚は7mmであった.画像上, 薄壁空洞であったが, 血中CEAが高値であり, 気管支鏡検査では診断がつかず肺癌も疑われたため開胸生検を施行した.腫瘍は左上葉に位置し, 大きさは75×45×40mmで, 片肺換気後も虚脱せず緊満していた.原発性肺癌の約6~8%に空洞を伴うとされているが, 薄壁空洞陰影を呈するものは希である.咳嗽・喀痰を伴わず, 検診で発見された薄壁空洞を呈する肺原発扁平上皮癌の1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する.

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