日本呼吸器外科学会雑誌
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横隔膜子宮内膜症を病理学的に確認できた月経随伴性気胸の1例
川野 勧尾高 真塩谷 尚志武山 浩秋葉 直志落合 和徳鷹橋 浩幸山崎 洋次
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1998 年 12 巻 4 号 p. 535-538

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抄録

横隔膜子宮内膜症を病理学的に確認できた月経随伴性気胸を経験したので報告する.症例は44歳の女性で, 月経に伴い繰り返し気胸を発症するため, 精査に加療を目的として入院した, 入院時の胸部X線写真で右肺に脱気率20%の気胸を認めた.1996年6月に手術を施行した.胸腔鏡下に胸腔内を観察したところ, 右肺には異常所見を認めなかったが, 横隔膜の腱様部に多数の小孔を認めたため, 第6肋間に小開胸を追加し同部位を切除した.切除部の病理組織学的所見として, 子宮内膜に類似する管腔構造とその周囲の子宮内膜間質細胞が明確に確認され, 横隔膜に発症した子宮内膜症が気胸の原因と考えられた.
横隔膜子宮内膜症において, 本症例のように子宮内膜組織が腺構造まで明確に観察できた症例はまれである.本症例は横隔膜子宮内膜症の原因が空気腹腔経由説であることを支持するものである.

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