日本呼吸器外科学会雑誌
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気道感染を繰り返した気管支拡張症の1例
岩渕 裕嘉村 哲郎
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1998 年 12 巻 7 号 p. 810-814

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抄録

気道感染を繰り返し, 左上葉全体が荒蕪肺に陥った気管支拡張症に対し, 外科治療にて改善できた症例を経験したので報告する.症例は53歳, 女性.小学1年時に肺炎で約1ヵ月間入院, それ以降咳嗽・喀痰が持続し, 中学2年時に気管支拡張症と診断された.その後も毎年のように気道感染を繰り返していたが, 近年になり2~3週おきに38℃以上の高熱が出現するようになったため当院受診となった.諸検査にて左上葉と右S5領域に気管支拡張症を認め, 特に左上葉は器質的障害が進み荒蕪肺にまで陥っていた.外科治療の適応と判断し, 左上葉切除術を施行した.右S5病変は範囲が限局していることから切除しない方針とした.術後経過は順調で, 咳嗽・喀痰の量は術前に比べ著明に減少, 発熱も全く見られなくなり, QOLの改善に大いに貢献できた.術後約1年経過した現在も良好な経過をたどっている.

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