日本呼吸器外科学会雑誌
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肺癌TNM分類 (1997年) の評価と問題点
吉村 雅裕坪田 紀明宮本 良文松岡 英仁植田 真三久江夏 總太郎
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1999 年 13 巻 4 号 p. 504-509

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抄録

新TNM分類の評価を目的に非小細胞肺癌の手術成績とE因子を検討した.【対象】 (1) 予後 : Completeresectionから5年以上経過した364例. (2) 胸腔内洗浄液細胞診 : 術前の胸部CTに胸水貯留の認められなかった腺癌連続313例.【結果】 (1) 5生率は全ての死亡を含んで検討された.1期A;76%, B;65% (p=0.0314), II期A;63%, B;54%, III期A;25%, B;17%であった.pT3NOMO (48%) はIIIA期より良好な予後を示し, pm1の成績はN因子で左右された.IA期で腫瘍径2cm以下の5生率は91%となり2.1~3cmより有意に良好であった. (2) 46例, 14.7%が洗浄液細胞診陽性であった.【結語】1) 新分類について : a) A, Bに細分化された意義は1期にのみ認められた.b) T3NOMOの病期変更に意義を認めた.c) N因子を考慮に入れないpml=T4は治療成績を反映しなかった, の3点が判明した.2) 今後の改訂について : a) 最大腫瘍径2cm以下を重視する, b) 開胸時の洗浄液細胞診を病期分類に反映する, c) 死亡例の扱いを明記統一する, の3点を強調した.

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