抄録
30歳未満の, 異時両側気胸や初回又は, 再発一側自然気胸のうち, 術前画像診断にて, 対側肺にブラが存在する症例に対して, 一期的両側胸腔鏡下手術 (以下, 両側手術群 : 16例;32側) を施行した.手術侵襲, 再発, コストの面から, 一側胸腔鏡下手術 (以下, 一側手術群 : 30例;32側) と比較し, 一期的両側手術適応について検討した.
術前の異時両側気胸は, 両側手術群3例, 一側手術群6例であり, 一側手術群では, 6例中4例に対し, 対側手術が他院で施行されていた.手術時間, 術後胸腔ドレーン留置期間は, 両側手術群が一側手術群に比し, 有意に長かった.術後の肺瘻, 在院日数, 血清CRP最大値では, 両群間に差を認めなかった.術後早期肺虚脱は, 両側手術群3側, 一側手術群2側で認め, 再発は, 一側手術群2側で認め, 対側気胸は一側手術群2側で認めた.
コストは, 両側手術群が一側手術群に比し, 対側の手術関連費分のみ割高であった.