日本呼吸器外科学会雑誌
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血中CA19-9およびCA125上昇を認めた肺葉内肺分画症の一例
先山 正二監崎 孝一郎武久 政嗣高橋 裕児石倉 久嗣武久 良史谷田 信行近藤 和也高橋 敬治門田 康正
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2000 年 14 巻 6 号 p. 708-714

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抄録

血液中CA19-9およびCA125の上昇を伴った肺葉内肺分画症の一手術症例を経験し, 文献的考察を加えて報告した.症例は60歳の女性.腰痛を伴う腰椎圧迫骨折を契機に精査がなされ, その過程で今回の異常が発見された.胸部CTにて左後肺底区に異常陰影を認め, 気管支鏡所見では可視範囲内に気管支分岐異常はなく, 経気管支的に異常肺への到達は不可能であった.手術所見では, 胸部下行大動脈から異常肺に流入する2本の弾性動脈を認め, 正常肺との気管支レベルでの交通は認められなかった.この異常肺部分を, 区域切除に準ずる方法により切除した.切除標本による検索では, いわゆる「末梢向き」の肺葉内肺分画肺であり, 免疫組織染色において, 分画肺内の気管支上皮はCA19-9およびCA125陽性であった.切除後に血液中CA19-9およびCA125は早期に正常に復し, これらの腫瘍マーカーの上昇は肺葉内肺分画肺に由来するものと考えられた.

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