日本呼吸器外科学会雑誌
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Visual analog scale (VAS)を用いた術後呼吸困難感の評価
門倉 光隆野中 誠山本 滋片岡 大輔伊谷野 克佳柴田 雅彦谷尾 昇川田 忠典高場 利博
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2000 年 14 巻 7 号 p. 785-790

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抄録

術後呼吸困難感の表現や程度は患者によって様々であり, 痺痛の有無など不確定要素が含まれるため定量的評価は困難とされている・そこで「度合いスケール」のうちvisual analog scale (VAS) を用いて開胸術前後における呼吸困難感の評価を行った.胸腔鏡下手術を除く肺部分切除23例, 肺葉切除27例の計50例を対象とし, 術前および術後120病日の間で定期的にVAS測定とHugh-Jones呼吸困難度分類 (H-J) 評価, 呼吸機能検査, 血液ガス分析を施行した.VASとH-J分類は良好な相関関係を示したが, VASと呼吸機能検査結果との間では, 術前FEV1.0%, PFとの間, 術後は最大吸気量との間以外に相関関係は得られなかった.なお, 術後H-Jは速やかに術前の分布状態まで回復したのに対してVASでの回復は遅延し, さらにH-JI度に属する患者の中に僅かながらも呼吸努力感や不快感の存在が確認された.VAS測定は僅かな呼吸困難感の変化を連続的数値で定量評価する方法として妥当と考えられた.

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