日本呼吸器外科学会雑誌
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縦隔原発MFHによる急性呼吸不全に対し, 左主気管支Dumonステント挿入で救命しえた1例
中村 透岡安 健至李 宗雨大原 正範細川 正夫加藤 紘之
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2001 年 15 巻 4 号 p. 510-514

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抄録

症例は60歳, 男性.突然の呼吸困難感を主訴に近医を受診した.受診後に意識消失をきたし, 急性呼吸不全の診断で当院に搬送された.動脈血ガス分析はPo2 33.5torr, Pco2 34.6torrで, 直ちに気管内挿管, 人工呼吸器管理とした.胸部CTで後縦隔に腫瘍塊と, それによる左主気管支の圧迫狭窄を認めた.BFでは気管支粘膜に異常は認めなかった.動脈血ガスの改善が得られないため, 翌日左主気管支にDumonステントを挿入した.直後より意識は清明となり, 人工呼吸器を離脱した.画像所見から未分化癌を疑い, 縦隔腫瘍に放射線照射を開始した.理学所見で左頚部リンパ節の腫大を認めたため同部を生検, 病理組織検査にて多形性細胞と紡錘形細胞を認め, 免疫組織化学検査よりMFHの診断を得た.

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