日本呼吸器外科学会雑誌
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肺癌におけるセンチネルリンパ節生検の経験
術前RI注入の安全性とその問題点
上田 和弘藤田 信弘坂野 尚佐伯 浩一田中 俊樹松岡 隆久須藤 学拓林 雅太郎善甫 宣哉
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2002 年 16 巻 4 号 p. 538-541

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抄録
我々はRI標識コロイドを術前に経皮的に穿刺注入する方法でセンチネルリンパ節生検の臨床試験を開始したので, その方法と問題点について紹介する.まずCT室にて体表面にマーキングを行なった後にRI検査室にて99mTc-tin colloidの注入を行なった.携帯用ガンマ探知機にて開胸時 (in vivo) とリンパ節摘出時 (ex vivo) のそれぞれでリンパ節へのRIの取り込みを計測した.RI注入による合併症は極めて軽微であった.1例で軽度の気胸を合併したが自覚症状なく治療を必要としなかった.RIの気道内散布によりリンパ節へのRI集積をin vivoでは感知できなかった.Ex vivo計測により6例中5例にセンチネルリンパ節が同定された.5例のセンチネルリンパ節の所在は#12が3例, #11が1例, #5が1例であった.全例リンパ節転移は陰性であった.今後, 解決すべき問題は多いが, まずセンチネルノードコンセプトの正当性を証明するためにも症例を多数蓄積する必要がある.
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