日本呼吸器外科学会雑誌
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重症気管・気管支軟化症に対するリング付きPTFEを用いた膜様部固定術の1例
松岡 英仁西尾 渉阪本 俊彦原田 洋明坪田 紀明
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2002 年 16 巻 4 号 p. 602-606

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抄録

症例は55歳男性.閉塞性肺障害による呼吸不全で, 在宅酸素療法の後, 気管切開を伴う人工呼吸管理を受けていた.気管支鏡で第2胸椎レベルから両主気管支にかけて安静呼気時に三日月型の80%狭窄を認め, Johnson分類III度の気管・気管支軟化症と診断し手術を施行した.径12mmリング付きPTFEを長さ約2.5cmに切り, 縦に割を入れて広げたうえ周を巻いているリングを段違いに切断して過度の彎曲を修正し, 膜様部にフィットする形状とした.これを4-OPDS-IIを用い気管及び気管支の軟骨輪端に縫合固定し, 次に膜様部を頭側端, 尾側端, 中央の3点で釣り上げ縫合固定した.以上の操作を胸腔内気管の全長, 左主気管支, 右主気管支から中幹に至るまで分節的に行い, 気道を外側より補強した.術後, 呼吸閉塞感, 聴診所見は劇的に改善し, 自宅療養が可能となった.気管支鏡検査, 胸部CTによる動態評価で良好な気道の保持が確認された.

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