日本呼吸器外科学会雑誌
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透析患者に発症した縦隔内異所性副甲状腺腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症の一例
佐藤 暢人松本 譲児嶋 哲文平口 悦郎小西 和哉村上 貴久加藤 紘之
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2004 年 18 巻 1 号 p. 38-42

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抄録
慢性腎不全患者における副甲状腺機能亢進症は, 二次性のものがほとんどである.一方, 縦隔内異所性副甲状腺腫は副甲状腺腫の約2%と比較的稀な疾患である.今回我々は透析患者に発症した縦隔内異所性副甲状腺腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症 (1°HPT) の一例を経験したので報告する.
症例は42歳, 男性.慢性腎不全により, 他院で血液透析を受けていたが, 血清Ca, P, intact-PTHの上昇を認めたため, 当院に紹介された.胸部CT, MRIでは前縦隔に径3cm大の腫瘤影を認め, 99mTc-MIBIシンチでは前縦隔に集積像を認めた.また, 頚部の副甲状腺の腫大は認めなかった.以上より, 縦隔内異所性副甲状腺腺腫による1°HPTと診断し, 胸腔鏡下に腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的には副甲状腺腺腫と診断された.
本症例のように, 慢性腎不全患者であっても高Ca血症を呈した場合, 1°HPTも念頭に入れて検査する必要があると考えられた.
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