大学教育学会誌を対象とした質的研究の文献調査は,本学会ならびに会員にとってだけではなく,大学教育研究を行う者にとって,土台となる先行研究レビューとして高く評価できる.また,大学教育を対象とした質的研究の実践Q&Aは,質的研究者による質的研究者に対する質的研究法によって明らかになった知見として極めてユニークであった.会員等がこれらの知見をどのように活用するか,その方法については検討課題である.本課題研究の3年間の成果は,文献調査,質的調査,研究者間のネットワーク構築に結実しており,いずれも高いものであると言えよう.とりわけ,書籍やセミナーなど一歩踏み込んだアウトリーチ活動は,本学会における質的研究の価値を高めただけではなく,本学会の社会的価値を高めた課題研究である.