2006 年 18 巻 4 号 p. 45-53
要旨:本研究は,奄美大島を対象地とし,島の滞在による来訪者への心理的効果を実験的に検証することを目的とした。実際に体験ツアーを実施し,離島での様々な体験活動をとおして,気分及び健康関連QOLにどのような変化がみられるかを明らかにした。指標として,気分プロフィール検査及びSF健康調査票を用い,20代前半の学生を対象に,日常生活,ツアー直前,ツアー直後の3回の測定値を比較考察した。さらに,ヒアリング調査を行い考察の際の参考とした。結果として,奄美大島での滞在により,被験者は身体的な疲れを感じつつも,精神的な健康を取り戻すことができたことが推測された。特に,日常生活においてストレスを感じている人の方がその変化が顕著に現れた。これには,豊かな自然環境のもとで,普段できない経験や人との交流などが刺激となっていると考えられた。結果として,奄美大島における短期滞在により,気分転換や心理的健康感の向上などの効果があることが実証された。