要旨:本研究では,洋上風力発電施設からの水中放射音による環境影響評価手法の構築に貢献することを目的とし,日本国内の着床式洋上風力発電施設の建設時(モノパイル基礎打設時)における水中音観測を実施した。この観測データの解析により,打設時の水中放射音の時刻歴及び周波数特性や,打設の有無による水中音レベルの変化を捉えることができた。また,当該海域における水中音伝搬特性の把握を目的とし,打設地点付近の海域において打設作業の停止中に水中スピーカーで再生した単一周波数音の観測を行い,この観測データを基に当該海域における水中音の減衰曲線を推定した。この減衰曲線を利用して,打設時の水中放射音観測データと打設地点から観測点までの距離を基に,打設地点での水中放射音の音源音圧を推定した。さらに,この推定音源音圧と打設時の打撃エネルギーとの間に正の相関関係があることを確認した。