本論文では「初年次教育とは何か」ということを,リメディアル教育との共通点および相違点から論じている。初年次教育は「高校卒業までに習ったはずのこと」ではないが「大学生としては身につけておくべきこと」についての教育であり,より自主的な学びを支えるための学習スキルの習得や,望ましい学習態度の育成が教育目的となる。初年次教育を円滑に行うためには「何を教えるか」だけでなく「どう教えるか」についても議論を重ねておく必要がある。その他,授業運営や科目設置上,考慮すべき点も多々あるが,唯一の正しい選択肢があるわけではなく,各大学の諸事情に合わせて適切な判断を下すことが求められる。