2023 年 18 巻 p. 59-68
短期大学看護科の「文章表現」科目の履修者を対象に,授業の意義や教育効果を検証することを目的として,授業前後における自身の成長に関する意識を11項目の観点からアンケートにより調査し,Wilcoxonの符号付順位検定により対応のある検定をおこなった。さらに,2編の小論文の成績を目的変数として,アンケート評価点を説明変数とした重回帰分析とCS分析をおこなった。その結果,学生の意識の変化を定量的に明らかにすることができ,成長実感と教育効果をうかがい知ることができた。重回帰分析の決定係数は低かったが,CS分析を用いて重点改善分野や改善度を求めることにより,今後の授業を改善する際に着目すべきポイントを抽出できることが示された。今後,準備学習の時間や小テストの得点なども分析の対象に加えることで,より詳細な検討をおこなうことも可能となると思われる。