デジタル・ヒューマニティーズ
Online ISSN : 2189-7867
論文
『デジタル・ヒューマニティーズ』Vol.2発刊にあたって
ジャーナル オープンアクセス HTML

2020 年 2 巻 p. 1-2

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2020/11/20

『デジタル・ヒューマニティーズ』編集委員会委員長 永崎研宣

『デジタル・ヒューマニティーズ』は、日本語によるデジタル・ヒューマニティーズ(以下、DH)領域の査読付きオープンアクセスジャーナルとして2018年にVol.1が刊行されて以来、2年ぶりのVol.2刊行となる。新型コロナウイルス感染症によりますます業務量が肥大化するなかで、刊行に向けて尽力された査読者、編集委員の方々には深く感謝したい。

 人文学においてもデジタル技術の活用は様々なレベルで広く行われるようになってきており、それによりもたらされる媒体や手法の変化は、もはや学問的課題としても看過できない次元で深く浸透しつつある。このような状況に対するまさに正面からの取り組みであるDHは、国際的には大きな潮流となっているものの、しかしながら日本語圏においてはその長い歴史と蓄積にも関わらず研究領域としての認知度はそれに見合うとは言いがたい状況である。この雑誌は、その状況の改善を目指す一手として発刊されたものだが、ほぼ同時期に、情報処理学会論文誌における人文科学とコンピュータ特集号が同様の目的を以て実現したため、特に査読にかかる研究者コミュニティの負担を考慮し、この特集号と刊行年が重複しないようにすることとし、結果として当面は隔年刊行となっている。一方、当学会の英文ジャーナル「Journal of Japanese Association for Digital Humanities」は毎年刊行を重ね、本年はVol.5の刊行を果たしており、日本におけるDHの議論を世界に発信していく橋頭堡としての役割を果たしつつあることも付記しておきたい。

DHにおける研究活動は、人文学と情報学の双方の課題に領域横断的に取り組む必要があるだけでなく、データ作りやシステム構築まで仕事に含まれてしまうことも多く、結果として論文の執筆まで至ることは容易ではない。このことは、たとえば米国歴史学会(AHA)や米国現代語学文学協会(MLA)が当該分野におけるデジタル成果物そのものを評価するためのガイドラインを作成しているように、国際的にも広く認識されている。そのような状況において、Vol.2では、日本のわらべうたの分析と、日本の古辞書のモデル化という、日本語圏ならではのテーマを扱う2編の論文を掲載できることとなった。このような論文が、DH分野の日本語で読める成果として発信されることは、今後の日本のDHを振興していく上で確かなよりどころとなっていくことだろう。貴重な論文を投稿してくださった執筆者の方々にも深謝する次第である。

『デジタル・ヒューマニティーズ』では、論文投稿は随時受け付けており、査読終了次第の早期公開も利用可能である。上述の事情により次回刊行は2022年となる予定だが、DH領域に取り組む研究者の方々におかれては、ぜひとも投稿をご検討いただきたい。投稿規定などは以下のURLにてご参照されたい。 https://www.jadh.org/jjdh

『デジタル・ヒューマニティーズ』編集委員会

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    北本朝展(国立情報学研究所)

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    後藤真(国立歴史民俗博物館)

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    鈴木桂子(立命館大学)

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    高田智和(国立国語研究所)

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    永崎研宣(人文情報学研究所・委員長)

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    守岡知彦(京都大学)

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    山田太造(東京大学)

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    山元啓史(東京工業大学)

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    Hoyt Long(シカゴ大学)

 

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