アート・ドキュメンテーション研究
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近代日本の新聞連載小説挿絵 : 身装情報としての評価
高橋 晴子
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2008 年 15 巻 p. 1-18

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抄録

本稿は、近代日本の<「身装-身体と装い」画像データベース>のための、重要なデータソースである新聞連載小説挿絵の身装情報としての資料価値について述べている。まず、小説挿絵の評価のための前提条件となる挿絵画家の位置付けと技術について言及した。1900年以後には、日本画家で占められていた挿絵の世界に西洋画家が参入し、さらには社員の身分であった挿絵画家がフリーの身分に変化してゆく。また、技術的には、写真製版などの新しい技法が加わった。これらのことが要因の一部となり、浮世絵様式の明治期前半の挿絵が、1900年以降になると、陰影感をもったリアルな姿態や、豊かな表情などが表現されるようになる。このような変容をとげた挿絵の信憑性を確認しながら、本画像データベースにとって、同時代の挿絵が適切な画像資料であることを検証した。なお、本画像データベースは、約1万件の画像で構成する予定でいるが、画像データの約40%は挿絵が占めることになる。

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© 2008 アート・ドキュメンテーション学会
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