現代社会における展覧会を一つの巨大で複合的なメディアと捉え、受容する一般市民の視点から有用な情報モデルと可能な情報資源組織化のあり方を考究している。
今回、展覧会に関わり生産・流通・受容される幅広い情報を対象に、既存の共通語彙/オントロジーに依拠した構造化記述を試行した。記述項目は本誌前号で提示した情報モデルに準拠し、共通語彙/オントロジーには博物館情報を対象とするCIDOC CRMを採用した。CIDOC CRMは抽象度の高い語彙であるため、本ケースでは適用に際し様々な点で意味解釈の「補強」を要する。本研究ではそれらを図解形式で統合的に整理し、補助参照モデルと位置付けた。
以上の前提で、展覧会を契機として流通する様々な情報を、相当程度包括的に構造化記述できることが確かめられた。加えて、CIDOC CRM自体が示唆するオブジェクト指向での語彙の拡張により、記述の包摂力を高められ精緻化できることも確かめられた。
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