経済地理学年報
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研究ノート
日本における用語としての「コンビナート」の受容
小俣 利男
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2025 年 71 巻 4 号 p. 65-80

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抄録

本稿は,日本で長く定着し,経済地理学にとっても重要でありながら十分に検討されてこなかった「コンビナート」という用語の日本における受容過程を,特例的・一般的両コンビナートへの区分という新しいアプローチと,それを第二次世界大戦前後の2時期への区分によって解明した.日本にとって受容先のソ連ではコンビナートはロシア語にとっても外来語として生成され,初期には多義的・高頻度に使用された.本稿では日本での用語受容において重要であった工業(鉱工業)生産を主に検討した.受容前期にはソ連で特例的・一般的両コンビナートが計画・形成され,特例的コンビナートとりわけウラル・クズネツクコンビナートがソ連,日本において注目を集めた.一方,受容後期には,日本の経済復興や重化学工業化のために一般的コンビナートが導入され, 1950年代には実際に計画・形成されて,1960年にコンビナートが流行語になった.主要な辞・事典に基づく,日本の「コンビナート」受容は,日本における一般的コンビナートとソ連の特例的コンビナートとを区別しない関連づけに特徴がある.こうした受容は,受容先側のソ連と受容側の日本,とくに後者の社会経済的状況に強く影響されたものであった.

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