抄録
本研究の目的は,情報Ⅰ「データの活用」において思考力向上を目的とした授業を設計し,実践によりその授業設計を評価することである.本研究における思考力の向上とは,生徒が提出した成果物の思考力の観点での評価が向上することと捉える.設計した授業は,データの活用に関する基礎的な演習を行った後,探究1として動画教材を参考にして相関分析を行って成果物を制作し,探究2として生徒同士のディスカッションと教員が与えた視点で振り返って,成果物を改善するといった流れである.探究2で教員が与えた視点は,(1)散布図の理解の深化,(2)相関関係と因果関係の理解,(3)外れ値の理解,(4)層別分析の4点である.授業実践の結果,生徒の最終成果物に対する思考力の観点での評価が向上した.