日本情報科教育学会誌
Online ISSN : 2434-6845
Print ISSN : 2189-0668
最新号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
巻頭言
原著論文
  • 天川 勇二, 堤 健人
    2024 年17 巻1 号 p. 5-14
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,高等学校共通教科「情報」科目「情報Ⅰ」において,ファクトチェックを通したメディア情報リテラシー(以下,MILとする)を育成する授業の開発・実践と,その効果検証を目的とした.開発した授業は(2)コミュニケーションと情報デザインの内容の一部として3授業時間で計画し,高等学校2年生64名を対象に実践を行った.開発した授業の効果は,高校生版MIL自己評価尺度のうち,本実践に関わる4つの主題を抽出して作成したGoogle Formsのアンケートの回答を用いて検証した.その結果,MIL自己評価尺度の4つの主題のすべてにおいて,授業前と比較して授業後のほうがMILに関する自己評価が有意に向上していることが認められた.これらのことから,本研究で開発したファクトチェックを中核とする授業とその実践は,高校生のMILの育成に寄与することが示唆された.
  • ‐「情報通信ネットワークとデータの活用」領域に焦点を当てて‐
    大谷 洋貴, 古賀 竣也
    2024 年17 巻1 号 p. 15-22
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル 認証あり
    本稿の目的は,高等学校必履修科目情報Ⅰにおいて統計的リテラシーの育成がどの程度可能かを調査することである.そのために,すべての検定済教科書における「情報通信ネットワークとデータの活用」領域の記述を対象として,先行研究において提示された8つの統計的リテラシースキルがどの程度見られるかを確認した.結果として,調査した教科書には統計的リテラシースキルがほとんど記載されておらず,統計的リテラシーの育成が十分になされないことが明らかになった.現行の教科書に従って授業を行っても,統計的リテラシーの育成には限界があることが示唆される.最後に,情報Ⅰにおける統計教育の方向性を検討するためにも,教科・科目を超えたレベルでの統計教育カリキュラムの議論が必要であることを指摘した.
  • 渡津 光司, 小池 望央
    2024 年17 巻1 号 p. 23-31
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル 認証あり
    本研究は,今後の教育課程編成において,中学校技術科と共通教科情報科が有機的に接続・連携していくために,現行の教育課程における各教科の学習内容に着目し,中学校技術科の各内容に共通教科情報科の学習内容がどの程度分布しているか,定量的に把握することを目的とした.学習内容の分布を調査するために,各教科の教科書の索引から,学習内容に関するキーワードを抽出し,中学校技術科と共通教科情報科で一致・関連しているキーワードをカウントした.その結果,中学校技術科における共通教科情報科に関する学習内容は,「情報の技術」に多く分布しており,特に「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツに関するプログラミングによる問題の解決」の学習について,共通教科情報科との関連が深かった.以上のことから,中学校技術科における「情報の技術」の内容のみ,共通教科情報科との接続・連携ができている可能性を示唆した.
  • 丸山 浩平, 山口 大成, 飯泉 翔太, 萩原 浩平, 森本 康彦
    2024 年17 巻1 号 p. 33-42
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル 認証あり
    学習指導要領では育成を目指す資質・能力が明確化され,どういった力が身に付き,どれだけ成長したかを捉える学習評価の充実を求めている.情報科では育成を目指す資質・能力が複数の単元にまたがるため情報Ⅰ全体または情報Ⅱに渡って資質・能力を育成すること,さらに公民科や数学科,総合的な探究の時間等の他教科とのカリキュラム・マネジメントによる教科等横断的な学びの中で資質・能力を育成し,その成長を把握することが期待される.本研究では,情報科で育成を目指す資質・能力の育成状況の把握の支援を目的とし,学びの振り返りの記述から情報科における思考力・判断力の資質・能力の育成に関する記述を抽出する手法を開発し,その抽出精度を検証した.その結果,開発手法は生徒が記述した学びの振り返りの記述から資質・能力の育成に関係がある記述をおおむね抽出でき,どのような思考,判断を働かせた記述かを判断できる可能性がうかがえた.
実践論文
  • 井手 広康
    2024 年17 巻1 号 p. 45-52
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,オープンデータを使用して箱ひげ図,散布図,相関係数,回帰直線などの観点からデータの分析を行うデータサイエンス教育を実践するとともに,大学入学共通テスト「情報」試作問題の第4問「データの活用」を生徒に解答させた.授業後に実施した事後アンケートやARCS評価シートの結果及び授業の感想から,データサイエンス教育にオープンデータを使用することの有用性が示された.本実践における自由にデータを組み合わせて相関を見つけ出すという作業が,生徒にとって「面白さ」,「やりがい」,「達成感」を感じる要因であったと考える.一方で,本実践で使用したオープンデータ「家計消費」が自身と関連付けて捉えることが難しかったのではないかと推測する.また,大学入学共通テスト「情報」試作問題の解答結果からは,散布図,外れ値,残差,標準化したデータからの読み取りに課題が残った.また,大学入学共通テストに対応するためには,本研究のような実践に加えて本番形式の問題を解く演習も必要であると考える.
  • 林 宏樹, 渡辺 博芳, 笹嶋 宗彦
    2024 年17 巻1 号 p. 53-62
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル 認証あり
    本研究の目的は,情報Ⅰ「データの活用」において思考力向上を目的とした授業を設計し,実践によりその授業設計を評価することである.本研究における思考力の向上とは,生徒が提出した成果物の思考力の観点での評価が向上することと捉える.設計した授業は,データの活用に関する基礎的な演習を行った後,探究1として動画教材を参考にして相関分析を行って成果物を制作し,探究2として生徒同士のディスカッションと教員が与えた視点で振り返って,成果物を改善するといった流れである.探究2で教員が与えた視点は,(1)散布図の理解の深化,(2)相関関係と因果関係の理解,(3)外れ値の理解,(4)層別分析の4点である.授業実践の結果,生徒の最終成果物に対する思考力の観点での評価が向上した.
  • 岸本 有生, 本多 佑希, 兼宗 進
    2024 年17 巻1 号 p. 63-69
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル 認証あり
    高等学校や大学において,データサイエンス教育が実施されている.本研究では,データ分析学習環境「Connect DB」に対話的に決定木モデルを構築できる機能を開発した.これまで,筆者らはこのシステムを用いた授業実践を行ってきたが,学習効果の検証までには至っていない.そこで,本論文では,その学習効果を検証するための授業案を提案する.工学部の大学2年生を対象とした授業実践において,手作業による決定木の構築過程を体験することで,学習者がどのような基準で分岐点を選定すべきかを理解するとともに,訓練データとテストデータの切り替えを通して,過学習のリスクに気付くなどの学習効果を確認した.
  • ‐生成AIのファクトチェックを通して‐
    堤 健人, 阿濱 茂樹, 新田 拓也, 野村 厚志, 中田 充, 鷹岡 亮
    2024 年17 巻1 号 p. 71-80
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル 認証あり
    本研究は,情報活用能力の情報収集に関する要素に着目し,教員養成課程におけるファクトチェックを通したオンライン情報の評価能力の指導力育成を図る授業開発とその実践に基づく効果検証を目的とする.授業は,ファクトチェックを中核的な学修活動に位置づけて,教員養成課程の学生を対象として90分で完結する構成とした.授業実践の前後に実施した効果検証テストとオンライン情報の評価能力の指導力に関する自己評価を,対応のあるt検定を用いて検討した.その結果,本実践においては効果検証テストの平均点とオンライン情報の評価能力の指導力に関する自己評価の得点が有意に向上していた.本研究では,教員養成課程に所属する教員を志望する学生を対象にした実践に留まっていることから,児童・生徒を対象とする学校現場への波及が今後の課題と考えられる.
  • 池之上 勇斗, 山下 優子, 北澤 武
    2024 年17 巻1 号 p. 81-97
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル 認証あり
    本研究では,プログラミングとドローンを活用して,実社会と情報技術のかかわりを考えさせる課題解決型学習の実践を行い,教科書(1)に取り上げられているドローンについて実際に操作させて生じた生徒の気づき,情報技術を用いた課題の解決へのプロセス,学習活動,本実践の特徴を,質問紙調査及び小テストとマインドマップの記述をもとに評価した.その結果,一部の生徒から,1)新たに,活用上の諸問題への気づきと技術活用への倫理的視点や,活用に向けて機材の特性や様々な情報をもとに工夫し,機能実装を行う視点をもち,プログラミングでどう工夫や対処を行えば良いかという学びを与えた可能性,2)将来社会で役立つことや明るい見通しを抱かせ,実社会の産業でICTの存在や活用法を深く学ぼうとする姿が見られることが示唆された.また,3)当事者として社会課題を学び解決策を考える過程で,内発的動機付けを引き出し,学習を促す可能性が示唆された.
レター
  • 古賀 竣也, 堀田 龍也
    2024 年17 巻1 号 p. 101-111
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/07/10
    ジャーナル 認証あり
    本研究は,情報科教師を対象とした研修機会の展開を背景として,情報科教師の教材開発の各過程(翻案過程)で活用される「情報科の授業についての知識」を明らかにした.情報科教師を対象としたインタビュー調査の結果,情報科教師は少なくとも10種の「情報科の授業についての知識」を有しており,これらを活用して教材を開発していたことが明らかになった.また,ある特定のカテゴリの「情報科の授業についての知識」が様々な段階で活用されているというよりは,各段階において活用されている知識が異なっていたことも明らかになった.
高校現場からの声
feedback
Top