2008 年 28 巻 3 号 p. 511-513
症例は53歳,男性。約1年前より限局性腹腔内膿瘍を繰り返し,経皮的腹腔内膿瘍ドレナージ術を行っていた。症状繰り返すため,精査を行ったところ,小腸造影にて回腸より膿瘍腔内への造影剤の漏出が認められたため,手術を行った。穿孔部小腸に憩室等の異常所見,また,膿瘍腔内にも魚骨等の異物はなく,原因は不明であった。本症例は,何らかの原因により,小腸穿孔をきたし,限局性の腹膜炎から腹腔内膿瘍を形成したと考えられた。以上,原因不明小腸穿孔による限局性腹腔内膿瘍の1例を経験したので報告した。