日本腹部救急医学会雑誌
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特集:高齢者腹部救急疾患の問題点
基礎疾患を有する高齢者胆道炎に対する治療方針
鈴木 修司小池 伸定原田 信比古鈴木 衛
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2009 年 29 巻 6 号 p. 861-866

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抄録

高齢者の多くは合併症を有し,予備能も低く,重症化する場合も多い。対象は2001年から2007年までに高齢者胆道炎に対して外科的治療を施行した106例である。『急性胆管炎・胆嚢炎の診療ガイドライン』により分類し,検討した。なお高齢者は70歳以上とした。急性胆管炎症例は53例で,軽症13例,中等度32例,重症8例であった。軽症例は全例待機的手術,中等度症例は待機的手術27例,緊急手術1例,PTBD3例,ENBD1例後手術を施行した。重症例は2例にPTBD後手術,6例に緊急手術を施行した。急性胆嚢炎症例は53例で,軽症20例,中等度14例,重症19例であった。軽症・中等度症例はPTGBD 1例,胆石イレウス1例を除き待機的手術を施行した。重症症例で胆嚢周囲膿瘍6例はPTBD後手術,壊疽性胆嚢炎7例は緊急手術,他は待機的手術を行った。高齢者胆道炎はガイドラインの推奨に沿った治療は困難なことも多く,個々の状態に合わせた治療が必要である。

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© 2009 日本腹部救急医学会
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