日本腹部救急医学会雑誌
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特集:高齢者腹部救急疾患の問題点
高齢者潰瘍性大腸炎緊急手術症例の問題点
池内 浩基内野 基松岡 宏樹坂東 俊宏冨田 尚裕
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2009 年 29 巻 6 号 p. 873-877

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抄録

手術時年齢が60歳以上の症例を高齢者手術症例と定義した。潰瘍性大腸炎(以下,UC)においては,高齢者手術症例は増加しており,最近は約10%の症例が高齢者であった。高齢者UC手術症例の問題点は,緊急手術症例の予後が極めて不良なことである。今回の検討では,緊急手術では8/21(38.1%)が,待機手術では1/67(1.5%)の症例が術死となっており,有意に緊急手術の予後は不良であった。一方,60歳未満の症例では緊急手術でも待機手術でも予後に関しては有意差を認めなかった。高齢者緊急手術症例の死亡原因としては,MRSAや真菌感染に由来する呼吸器感染症や敗血症が多くみられた。高齢者UCの重症・激症型の症例は,予備能力が小さく,緊急手術となると予後が不良なため,消化器内科医と外科医が緊密に連絡をとり,手術時期が遅れないようにすることが極めて重要であると思われた。

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© 2009 日本腹部救急医学会
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