日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
Parkinson病経過中に胃穿孔をきたした胃軸捻転症の1例
山元 英資串畑 史樹小林 展章
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2009 年 29 巻 6 号 p. 895-898

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抄録
症例は70歳代,女性。腹部膨満感を主訴に当科を受診,腹部単純X線検査にて著明な胃拡張を認めたが経鼻胃管による減圧処置にて症状が改善し帰宅した。2日後,急激な腹痛が出現し当科を再度受診した。腹部単純X線検査,CTにて著明な胃拡張,free airを認め上部消化管穿孔の診断にて緊急手術を施行した。胃体上部前壁に3.0×3.0cm大の穿孔を認め,小網,胃結腸間膜には裂傷を認めた。穿孔部は菲薄化していたが潰瘍,腫瘍は認めず,網嚢内には多量の食物残渣が充満していた。胃後壁には異常を認めず,緊急入院時のCTでは十二指腸が腹部食道前面を走行し,初診時の腹部単純X線検査でも二重鏡面像を伴う胃拡張を認め胃軸捻転症に合致する所見であった。Parkinson病患者における胃軸捻転の報告はないが,画像検査にて胃拡張を認めた場合,本症の可能性も念頭に置き読影することが重要と思われた。
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© 2009 日本腹部救急医学会
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