日本腹部救急医学会雑誌
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症例報告
経肛門的小腸脱出をともなった特発性直腸穿孔の1症例
高橋 学佐藤 信博小鹿 雅博井上 義博渡邊 正敏遠藤 重厚
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2010 年 30 巻 1 号 p. 57-60

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抄録

特発性直腸穿孔は本邦においてもこれまで数多くの報告がなされているが,今回,経肛門的小腸脱出を伴った直腸穿孔の1例を経験したため,他文献との検討も含め報告する。症例は69歳女性。排便時,肛門から腸管の脱出を認め近医受診。加療目的に当院救急センターに紹介となった。来院時,肛門から小腸が約50cmにわたり脱出。脱出小腸は軽度暗赤色調を呈していた。緊急開腹術を施行すると,小腸はS状結腸前壁の縦走穿孔より直腸に入り込み,経肛門的に体外へ脱出していた。小腸脱出を伴った直腸穿孔症例の報告は中央医学会誌で渉猟し得た限りではこれまで24例のみで極めてまれな疾患であった。背景としては本症例を含め直腸脱を繰り返すなど慢性的にS状結腸および直腸へ牽引力が加わる疾患を有した症例が多く,そのことが腸管壁の脆弱化を招き直腸前壁の穿孔の一因になったと考えられた。

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© 2010 日本腹部救急医学会
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