抄録
症例は53歳,男性。増悪する心窩部痛を主訴に近医を受診し消化管穿孔を疑われ,当院紹介となった。来院15分後にショック状態となり,腹腔内出血の診断にて緊急手術となった。開腹所見上,中結腸動脈領域からの出血を認め,責任血管を結紮切離した。術後の腹部血管撮影検査にて中結腸動脈が造影され,同血管と左結腸動脈が形成する交通枝に血管径の不整と動脈瘤様の変化を認めた。今後破裂する危険性を考慮し,動脈瘤を含めた横行結腸切除術を施行した。術後経過は良好であり,初回術後61日目に軽快退院した。中結腸動脈瘤は多発する可能性が高く,多発の有無を確認することが重要である。